「同志少女よ、敵を撃て」読んでの感想
こんばんは。
「同志少女よ、敵を撃て」を先週前に読み終えました。
感想を残しておきたく思い、読書メーターに書こうとしてましたがパスワードがわからず断念。
よくよく考えたらblogでもいいやと思い、ここに書くことにします。
大まかな筋としては、第二次世界大戦の独ソ戦を背景にソ連に住む少女ドイツ侵略によって母や故郷を失う。帰る家もなくなった所をソ連軍人の女性尉官が彼女を拾う。そして、自身の母を殺したドイツに対して、ソ連の方針として村を焼き払った女性尉官に対して復讐心を胸に秘め狙撃兵として戦っていく。
思い出しながら書くとこんな感じです。
プロが書いたあらすじの方がわかりやすいかな。
手に取った背景としては、現在進行しているロシアによるウクライナ侵攻と本屋大賞を受賞したことの2点です。
前に勧められた時は少女と戦争という言葉が結びつかず、ライトノベル的なものと自分で判断して断っていました。
しかし、書いたようにウクライナ侵攻のニュースがあり、また本屋大賞受賞と著者のインタビューを読み戦争のリアルさが評判と聞き興味を持ちました。
結論から言うと、面白いです。
タイトルから敬遠するのはもったいない。これはよくあるライトノベル的な話ではありません。確かに、登場人物のキャラ付けには漫画チックなところもあります。
しかし、それはある種の読みやすさにつながっておりキャラに愛着が持てるようになると思います。
戦争小説でありながら、誤解を招く表現かもしれませんが娯楽小説として読みやすくなる工夫がされていると思います。
なぜなら450ページという厚さにもかかわらず、1週間ほどで読み切れましたから。
一番の驚きは当時のソ連には女性狙撃兵士が実在していたことでした。
知らなかった。この点でも読んだ価値がありました。
日本も第二次世界大戦参戦国として太平洋戦争については学ぶし、目にする機会は多いですが独ソ戦やヨーロッパについてはなかなか知らないですね。
復讐をテーマに主人公の成長譚であり、非常に読みやすかったです。
また、狙撃のシーンについては息をのむような描写で文字通り目が離せませんでした。
女性と戦争のかかわりについてフィクションの中で書きだしており、著者の努力が見られます。
ただ戦争が勇ましいものであるというだけでなく、また悲惨なものである1面を書き出している。
ドイツ・ソ連、軍人・非軍人、男・女。それぞれの立場から多面的に書かれており特に女性兵士という面の視点は新しかった。
ある意味戦争におけるフェミニズムの小説かもしれない。
参考文献にあるように、ノーベル賞作家アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』から大きな影響を受けているようなのでこちらの本についても読んでみたいと思っています。